#044 不穏な空気
二日酔いの頭痛を抱えたまま
仕事に集中した。
相変わらず現場では
気を抜くと置いてけぼりになりそうな、
刺激的な場所だ。
今日は今回のコンセプト写真を
撮ったり、撮りながら打ち合わせと
取材もしていった。
休憩の時間になり、
広いロビーのような場所の
ソファーに座って一息ついた。
ピトッッ
額に気持ち良い、ひんやり感が伝わってきた。
目線を上に向けると、
アルマがソーダの缶を額に当てていた。
〇〇:お〜、アルマ、お疲れ様。
アルマ:〇〇もお疲れ様。これ飲んで。
〇〇:ありがとう。
アルマ:仕事は大丈夫そう?
〇〇:うん、楽しいよ。
アルマ:そっか。なら良かった。
今日さ、仕事終わったら僕の家に来ない?
〇〇:うん、分かった〜。
カシャッッ
小さくカメラのような音が聞こえた気がした。
音のしたほうを見ると、鈴木さんがこちらへ
足早に近づいてきた。
鈴木:オッパ!おはようございます!
今日は事務所で何されているんですか!?
さっき聞こえてしまったんですが、
この後オッパの家で何かあるんですか!?
飲み会ですか?
アルマ:鈴木さん、おはよう!
や〜、今日も君は元気だなぁ!
今日は仕事で来てるよ。
仕事終わった後は飲み会じゃないけど、
予定があるから、今日ダンス練習は
行かないよ。
鈴木:さっき〇〇さん誘ってるの聞こえましたけど、
プライベートですか?
スタッフなんですよね?
アルマ:そうだけど、鈴木さんが
気にする事じゃないよ。
ダンス練習ファイティン(^^)!!!
鈴木さんは私の方を見て、言った。
鈴木:〇〇さんはラビさんの
彼女さんじゃないんですか?
〇〇:え!?違いますよ。
鈴木:そうなんですか…。
アルマ:じゃあ、そろそろ休憩終わるから
僕達は行くね!!鈴木さん、練習頑張ってね!
鈴木:あ…はい!ありがとうございます。
そして、鈴木さんの元を去り、
現場へ移動した。
アルマ:じゃあ、今日この後ね(^^)
アルマはそう言い、別のスタッフ達が集まっている
場所へ行った。
私は自分の鞄が置いてある場所に
仕事のメモ帳等を取りに向かった。
すると、何故かバッグ周辺に二日酔いドリンクと、
スープのレトルトが大量に置かれていた。
その光景にア然としていると、
ひまり:それ、メンバーさん達がそれぞれ
色々と置いていってたよ。
と、教えてくれた。
〇〇:そうなんだ!ありがとう。
ねぇ、私お酒臭いかな?(笑)
ひまり:ん?どれ?
そう言い、顔をギリギリまで近づけて
匂いを嗅いできた。
〇〇:////ちょっと!近すぎるよ!(笑)
ひまり:あ〜、悪いな。
匂わなかったよ?
〇〇:そっか!よかった!
ありがとう。
ひまりにお礼を言うと、
ひまりは私の後ろに視線をやっていたので、
振り返った。
すると、ラビがすぐ後ろにいた。
〇〇:うわぁ!!!気配気付かなかった!
びっくりしたぁ〜。
ラビ:…そろそろ始めるから、集合だって。
〇〇:うん!分かった。行くね。
………え!?
ラビは無言で私の手を繋いで、
みんなの元へ歩き出した。
〇〇:(仕事中はこんなこと今まで無かったのに。。。
どうしたんだろう?)
だが、集合場所まで来ると、
手は自然に離され、
ラビはメンバーのところへ行った。
それからは、いつも通り、
仕事に集中して時間が過ぎた。
〜〜仕事退勤〜〜
アルマと一緒に退勤をしようとすると、
地下駐車場で声をかけられた。
鈴木:すみません!
アルマ:鈴木さん?どうしたの?
鈴木:今日ロビーでの会話聞いてしまって…、、、
それから、私練習に集中できなくて、
退勤待ってしまっていました…。
アルマ:うん。それで?どうしたの?
鈴木:あの…良かったら、
私も一緒にオッパの家に行きたいです!
相談したい事があるんです!
いや、話したい事があるんです!
アルマ:うん。今度じゃ駄目かな?
鈴木:はい。今、でお願いします。
アルマ:う〜ん…。
鈴木さんの切羽詰まっている様子に
私が口出しする場面ではないが、
言葉が出てしまった。
〇〇:あの〜、私は家に帰るから、
鈴木さんと話してよ。
アルマ:いやいや、ちょっと待ってよ。
鈴木さん、今ここで話を聞くよ?
鈴木:いやいや、すみません!
少し取り乱しちゃって……。
………オッパは〇〇さんが好きなんですか?
アルマ:そうだけど?あ……ごめんね、
アイドルとして尊敬出来なくなったよね…
鈴木:いえ……。そんな事ないです。。。
ラビ:行こう
〇〇:え!?
急に現れたラビに腕を引っ張られ、
その場を去るように歩き出した。
アルマ:ちょっと!?なんだ!?
何処にいたんだ!?
鈴木:私からは見えてましたけど。。。
長いこと居ましたよ。
アルマ:え!?そうなの!?
とりあえず、2人を追わないと!
じゃあね!鈴木さん!練習頑張ってね!
鈴木:オッパ!話を聞いてください!
いえ、私も一緒に行きます!
私はラビに促されるように、
ラビの車の助手席に乗った。
ラビが車を発進しようとすると、
運転席の窓をドンドンと叩いてアルマが止めた。
ラビが窓を開けて話した。
ラビ:ヒョンは鈴木さんの話を
ちゃんと聞いてあげて下さい。
アルマ:〇〇を何で連れて行くんだ?
何処に行くの?
ラビ:何処だっていいじゃないですか。
それより、大切な後輩がこんなにも
切羽詰まって切願してますよ?
アルマ:…分かったよ。〇〇、後で連絡するから。
〇〇:うん、分かった。
そして、ラビは車を走らせた。
つづく
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