#050 最後の夜1/3
物音がしたリビングへ向かうと、
一目散にスカイが駆け寄ってきた。
そして、私を抱きしめた。
苦しいほどに。
〇〇:ちょっと…くるしい…
スカイ:電話に出ないお仕置き
気まずそうにスカイを見上げると、
凄く傷ついた顔で私を見ていた。
〇〇:それだけで?
スカイ:うん。もう連絡がとれないかと思った。
〇〇:うん…。
スカイ:ねぇ、僕からはもう逃げられないよ?
スカイは悲しくも怒っているような
複雑そうな顔をして、私を見つめた。
思わず顔ごと目を逸らしてしまう。
スカイは私の顔を両手でつつみ、
自分の方へ向けた。
スカイ:連絡つかないとか、無しだから。
真剣な眼差しに思わず、
嘘をついてしまう。
〇〇:う、うん。。。
そう言い、素早くみんなのいる
ソファーの方へ逃げた。
先程まで、最後だと思っていた悲壮感は
何だったのかと思うくらいに、
普通だった。
いや、全員、普通を装っていた。
スカイは相変わらずムスッとしているが、
スカイらしくもあった。
いつも通りお酒も入り、
いつも通りに笑い合う。
ただ、みんな今日は潰れなかった。
それを全員が感じとった頃、
ヒナが言った。
ヒナ:もぅ〜!みんな〇〇と二人きりで
話したいんでしょう!?笑
はい!じゃあ、〇〇は自分の部屋に行ってくださ〜い!
順番に行かせますから!!
〇〇:ぇえ!?
ヒナ:だってこれじゃあ、拉致あかないよ!?
明日みんな撮影なのに顔浮腫みすぎるって(笑)
はい、じゃあずっとムスッとしてる
スカイから行っておいで〜!
スカイは私の手を取り、
私の部屋へ向かった。
そして、部屋に入った途端に
また強く抱きしめられた。
スカイ:どうして、普通でいられるの?
〇〇:それが1番楽しくできるでしょ?
スカイ:分からない。
〇〇:スカイはそのままでいてね。
スカイ:何、その言い方。
意味わからない。
絶対離さないから。
〇〇:ははは(笑)
スカイ:また笑ってごまかして…(怒
〇〇:ねぇ?
スカイ:何?
〇〇:スカイの夢って何?
スカイ:まだ誰も見たことない景色を見てみること。
ダンスと歌で。
〇〇:そっか。羨ましい。
スカイ:どこが?
〇〇:夢があって。
スカイ:〇〇の夢は?
〇〇:私はスカイみたいな夢まだないな。
普通に暮らしたい。それだけ。
スカイ:で?
〇〇:今日さ、練習生の方達みて思ったんだ。
スカイはこの人達の憧れの人になってるんだな〜って。
それがさ、私みたいな平凡な人と噂されて、
あたかも恋愛に夢中になって仕事が疎かになってるなんて流れたら、ショックなんだろうなって。
スカイ:それで?
〇〇:だからさ、スカイは夢に向かって
突っ走ってよ。
スカイ:走ってるけど?今も変わらないけど?
〇〇:私は忘れてさ。
スカイ:いやいや、意味分からないよ?
〇〇:うん。そうだね。
スカイ:うん。
〇〇:…
スカイ:……もしかして、今フラれてる?
〇〇:うん。私のことは忘れてほしい。
スカイ:じゃあ、嫌いだって言ってよ。
ちゃんと、目を見て。
スカイは腕を緩めて、私を見た。
〇〇:…嫌い……
スカイ:嘘つき…
またすぐ私をきつく抱きしめ、
キスをした。
嫌いにならなきゃいけないのに……。
スカイにキスをされながら、
涙が沢山溢れた。
それを拭い、スカイはまたキスをする。
深いキスを受け入れてしまう。
こんなつもりじゃなかったのに…。。。
でも、、、
(元気でね。スカイ。
夢応援してるね。)
スカイ:明後日、帰国したら
いつ帰ってくるか教えてね。
〇〇:うん。
スカイ:もう、くだらない嘘つかないでね?
〇〇:うん…。
スカイ:それと、好きだよ。
〇〇:うん。ずっと見てるよ。
スカイ:何その言い方(笑)
〇〇:いつ帰れるか、まだ分からないから(笑)
スカイ:そっか。
そう言い、また私達は深いキスをした。
トントントントン
ヒナ:すみませ〜ん!
うしろ押してるんで、次の方いいでしょうか!?
スカイはため息をした。
スカイ:じゃあ、リビングで待ってるから。
そう言い、部屋を出ていった。
スカイが出ていくと同時に、
ジョイが入って来た。
ジョイ:お邪魔しま〜す。
〇〇:入り方(笑)
ジョイ:スカイとはもう大丈夫だった?
〇〇:うん。
ジョイ:そっか。。。
それと、本当にごめんね。
僕達でどうにかしなきゃいけない問題だったのに、
〇〇の周りの方に迷惑かけて。
守れなくて、ごめん。
ジョイは深々と頭を下げた。
〇〇:ううん、謝らなきゃいけないのは、
私の方だよ。ごめんね。
こんなことになっちゃって…
ジョイ:謝らないで。
ねぇ、それよりさ、次帰ってきたら
何したい?
私は言葉を詰まらせた。
ジョイ:帰ってこないなんて無しだからね?
ジョイは優しく微笑んで言っていた。
すごく悲しそうに。
〇〇:あのさ、ジョイ?
ジョイ:…それは聞けない。
〇〇:聞いてよ…。
私はジョイのダンスもっともっと見たいな。
この前ライブで見て感動したの。
ジョイのダンスから目が離せなかった。
そして、もっともーっと色んな人に見せつけてほしい。
ジョイ:じゃあ、一番近くで見ててよ?
〇〇:…近くでは見れないかもしれないけど、
ずーっと見てるよ(^^)
ジョイ:その言い方、もう会えないみたいじゃない?駄目だよ。そんな事にはならないよ?
それとも、〇〇はもう離れたいの?
〇〇:…ずっと一緒にいたいよ。
でも、重荷にはなりたくない。
ジョイ:誰もそんな事思ってないよ?
〇〇:そうだろうね。
だけど、広くみると違うんだよ。きっと。
ジョイ:……
〇〇:それと、、、もう少し出来れば休んでね。
頭(脳内)まで。
ジョイ:?
〇〇:言わなくても嬉しい事してくれるから…。
多分、いつも気を使ってるのかな?って。。。
だから、たまには自分だけを考えて休んで?
美味しいものも食べてね?
ジョイ:……。
じゃあ、ずっといてよ…。隣に。
隣で寝てよ。毎日…。
〇〇:いつもジョイをこれからは私が気づかうから。
毎日テレパシーで今日は少しでも休んだ?って聞くね(^^)寝る前に。
ジョイ:なにそれ(笑)
〇〇:ちゃんと休んでなかったら、電流流すよ(笑)
ジョイ:ひぃぃいいい(笑)
〇〇:(笑)
ジョイ:……あのさ…
〇〇:なに?
ジョイ:今日、夜一緒に寝ていい?
〇〇:怒られるんじゃない?事務所に。
ジョイ:僕の家はきっと今回の件で沢山の人がいるから、
帰れないし、ここのが安全だから。
次会える日がいつか確定してないなら、
今日はぐっすり寝たい。
〇〇の隣が1番寝れるんだ。
お願い。
見たことのない、ジョイの顔と雰囲気に
圧倒された。
ジョイ:ねぇ、いいでしょ?
〇〇:う、ん。
ジョイ:やった〜!
じゃあ、また来るね!
みんなが終わったら。
そしたら、僕はこのあと沢山時間があるから、
次の人に変わるね!
早く終わってほしいから!
〇〇:うん…(本当に泊まって大丈夫なのかな?)
ジョイ:じゃあ、みんなと同じ約束しないでね?
僕だけだよ?
急に耳元に近づいて、ジョイは言った。
咄嗟にジョイから離れた。
ジョイ:いつもの〇〇に戻ったね(^^)
じゃあ、またね〜
そう言いながら、私を妖艶な横目で見ながら
ジョイは部屋を出ていった。
(…この期に及んで、からかわれたのかな?)
(なんだか、出会った頃を思い出すな。)
懐かしさに浸っていると、ドアがノックされ、
アルマが入って来た。
つづく
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