#023 事情1
部屋に入ると、すぐスカイは私を抱きしめた。
スカイ:どうして、僕が連れてくる前にヒョン達と会っちゃうの?
抱きしめている腕に、グッと力が込められた。
その行動からは嫉妬しているとしか感じられなくて、さっき見てきたものも嘘なんじゃないかなって思った。
何も答えられずにいると、
スカイはジッと私の目を見た。
数秒スカイと目があった後、
いつも通りアクセや鞄をしまう彼の
後姿を見て思う。
(いつ話を切り出そうか……)
(どんな風に聞こうか……)
☁☁☁☁
クラブで見たことを責めればいい?
言い訳してきたら、口ピを引きちぎればいい?
☁☁☁☁
私の中の恐ろしい感情を押し殺した。
そして、問いかける。
〇〇:今日の仕事って何処でやったの?
スカイ:ん?普通に事務所だよ?
〇〇:ずっと?
スカイ:うん。
〇〇:そうなんだ。。。
スカイ:?。なんか言い方変じゃない?
やっぱりヒョン達に何か言われたんでしょ!?
〇〇:スカイは私に言われちゃいけないことあるの?
スカイ:ないけど?
てか、いい加減、僕だけを見ていればいいんだよ。
〇〇:見てるよ?だけど、嘘をつくじゃん。
スカイ:嘘?
〇〇:今日私はジョイとラビとは、
クラブで会ったよ。
スカイ:なに?クラブ行ったの?どうして?
〇〇:スカイがいるって、聞いて。
いたよね?仕事?事務所?
スカイ:………。
〇〇:……嘘、ついたよね?
スカイ:…うん。いた。
〇〇:どうして?
スカイ:…リュヲンと会ってた。
〇〇:なんで?
だんだんと、身体の奥から
震えていく感じがした。
これは、怒りなのか、悲しみなのか、
理解できないまま、
涙だけが目に溜まっていった。
スカイ:会いたいって言われたから…。
〇〇:それで、スカイは会いに行くの?
私に嘘をついてまで…。
スカイ:それでも、今こうして〇〇の所に帰ってきてるじゃん。1番大切なのは〇〇なんだよ?
〇〇:1番?なにそれ。。。
じゃあ、リュヲンちゃんは?どんな関係なの?
スカイ:リュヲンは、、、リュヲンも大切だけど、〇〇がいてこそなんだ。
何ていうか……、精神的に安定できるんだ、
お互い。
〇〇:はぁ!?意味わからない!
スカイのその言葉を聞いた瞬間、
大声が出た。
久しぶりに、こんな声をはった。
だから、
少し裏返った自分の声と、
大きく揺れた感情と、
まだ期待してしまう私と、
ごちゃごちゃな気持ちが、溢れた。
子供のように泣いてしまう。
スカイは急いでまた私を強く抱きしめに来る。
その声を聞いたのか、
ヒナ達が勢いよく部屋に入ってきた。
ヒナ:〇〇!どうしたの!?
私はスカイから離れて、ヒナに身を委ねた。
こんな姿を見せるのは、今回が初めてだ。
ひまりの時ですら、こんなに惨めな泣き方を見せた事は無かった。
恥ずかしい。とかは考えられなかった。
ヒナは優しくゆっくりと、私に聞いた。
ヒナ:さっきのこと、聞いたの?
涙が止まらず、ヒクつきながら、
首を縦に振る。
ヒナ:スカイは?何て言ったの?
また、涙が溢れた。
感情が高ぶってしまい、何も話せそうにない。
だから、みんなから離れるように
リビングに向かおうとした。
けれど、スカイが私の腕を引っ張り、
自分の方へ抱き戻す。
力の出ない私は、簡単に負けてしまう。
スカイ:まだ、話し終わってないから…。
ねぇ?ごめんね。。。
大好きだから。それだけは信じて?
お願い。
私に顔を埋めて、震えるスカイを
どうすることも出来ない。
(どうすれば、いいの?)
ヒナ:とりあえず、向こうで落ち…………
ヒナが言いかけた瞬間、
ジョイはスカイを私から引き剥がし、
胸ぐらをつかんだ。
スカイとジョイが無言で、睨み合う。
そこに、ラビが冷静にゆっくりと言う。
ラビ:あのさ……、一回落ち着こう?
〇〇は大丈夫?リビングまで移動できる?
その低くも囁くような、声に促されるまま、
その手をとり、リビングに移動した。
ヒナはパタパタと駆け足でドリンクを
取りに行き、私に差し出した。
少しずつ私は落ち着いて、
シャックリも止まっていた。
キラ:〇〇ちゃん、大丈夫?
僕達はここにいて平気?
〇〇:うん、ありがとう。
大丈夫だよ。うん、スカイがいいなら。
ラビはずっと俯いているスカイに
聞いた。
ラビ:ヒョン達もどうしたか気になるから、
一緒に話そう?
最近のお前の行動も聞きたい事があるし。
スカイ:…………はい。お話しします。。。
ジョイ:さっきは、〇〇と何て話してたの?
あんなに泣かせて。彼氏がすること?
スカイ:はい。。。すいません。
リュヲンとの事を〇〇に話しました。
『リュヲン』と話すスカイの声を聞き、
ドクンと胸が強く脈を打つ。
聞きたくない気持ちとは裏腹に、
言葉が出た。
〇〇:…………リュヲンちゃんとは、、、
どういう関係なの?さっき言ってた
精神的な安定って何?
さっき聞いた言葉を言っただけなのに、
また涙が溢れ出す。
ヒナは私に寄り添い、
背中をさすってくれた。
スカイ:リュヲンは僕しかいないんです。。。
ヒナ:は?
ラビ:うん。それで?
スカイ:僕もリュヲンがいると、
何か………安心するんです。。。
ヒナ:はぁ!?
ラビ:それって、どういう事なの?
リュヲンといると落ち着くの?
スカイ:はい。。。
僕しかいないって言うリュヲンといると
落ち着く感じがしました。
ヒナ:〇〇の気持ちは!?考えたの!?
ラビ:それは、どうして?
スカイ:〇〇といると、幸せだけど、
また何処かに行ってしまいそうで…。
僕だけを信じてほしいのに、こうして
ヒョン達と会ってるじゃないですか。。。
ヒナ:それはお前がリュヲンと会ってるからだろ〜〜〜
ラビ:いつからなの?
スカイ:最近です。
〇〇と付き合ってからは、
事情を説明して連絡は断っていました。
けれど、スカイしかいないって
この前リュヲンに言われて。
断れませんでした。。。
ヒナ:最低。
ラビ:僕達も何回か見たよ。
一緒に退勤しているところ。
仲よさげだから、〇〇とどうしたのかなって
思ってた。
スカイ:そうやって、〇〇にはヒョン達がいるんですよ。。。
ラビ:じゃあ、ヒョン達にくれる?
スカイ:嫌ですよ。
ラビ:どうして?こんなに悲しませたのに?
スカイ:〇〇は渡しません。
リュヲンはただ、僕がいなかったら、
駄目なんです。
だから、呼ばれた時だけ少し
会ってるだけなんです。
それだけです。
ジョイ:それを、〇〇がどう思うか考えた事はあったの?
スカイ:ありました。だから、言えませんでした。
ヒナ:それって、『浮気』って言うんだよ?
分かる!?
スカイ:だけど、僕が1番愛してるのは〇〇です。
スカイは真っ直ぐに私を見る。
付き合う前から変わらない、その瞳は
今の私にはズルさしか感じなかった。
みんなが居てくれて良かった。
私1人だったら、こんなに冷静に
なれなかっただろう。
スカイから目をそらし、
床を見ながら話す。
〇〇:1回外に出ていい?
ヒナ:私も行く!
〇〇:ありがとう。でも1人で行ってくるね。
そこのコンビニまでだから。
携帯もちゃんと持っていく。
ヒナ:大丈夫?
〇〇:大丈夫だよ。少し頭を冷やしてくる。
スカイとその後話すから、みんなはその間、
話しててもらっていい?
スカイ:僕も行くよ。危ないよ?
〇〇:大丈夫。リュヲンちゃんみたいに
弱くないから、私。
空気が凍りつく言葉を放って、
家を出た。
夢中でコンビニまで走った。
そして、数年ぶりに煙草を買った。
顔を上に向け、夜空に向かいながら、
煙をはいた。
ゆっくりと頬に涙がつたっていく。
何してんだろう、私…。
つづく
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