#026 好き
リュヲンを見たときの〇〇の心情に合った歌を
置いておきます。⬇
——–ここから本編です↓
ぇえー!?
驚いているスカイの顔が遠くになる。
何処かでも見た光景だ。
タクシーの中でアルマと2人きりになった。
アルマ:久しぶり。元気だった?
急にごめんね。
〇〇:久しぶり。元気だよ。
うん、大丈夫。だけど、スカイに連絡するね。
携帯を取り出すと、
既にスカイから着信がきていた。
電話に出る。
〇〇:あの…ごめんね。
スカイ:何に謝ってるの?
〇〇:………。
スカイは今日リュヲンちゃんと会う予定だったの?
話してほしかったな。そういうの。
スカイ:うん、分かった。
だから、戻っておいで?
一緒に帰ろう?
〇〇:…………。
ううん。アルマと少しゲームしてから帰るね。
スカイはリュヲンちゃんと遊んで来なよ。
スカイ:なにそれ?
〇〇:……本当だね。。。
自分で言った意味不明な言葉に、
電話をしながら涙が流れた。
スカイには分からないように、
震える声を普通に話すのが精一杯だ。
〇〇:じゃあ、また後でね。
スカイ:ちょっと!!
電話を切ってから、
アルマの前なのに泣いてしまう。
こんな姿を見られたくないのに。
幸せな姿を見てほしかったのに。
アルマ:あの…さ、、、。
〇〇:急に泣いて、ごめんね…。
アルマ:いやいや、泣いたっていいんだよ?
僕は気にしないで。
理由は大体分かってるから…。
〇〇:ありがとう…。
アルマ:じゃあさ、マリカーでぶっ放そうよ!!!
〇〇:…………。プッッッ(笑)
うん!久しぶりに、やりますか!!!
アルマの家に入るときに、少しだけ躊躇した。
スカイの真っ直ぐな瞳を思い出したから。
だけど、もうきっと私達は、、、、、
私は、あの子に敵わない。
会って自信を無くした。
そして、確信もした。
今はもう考えたくない、スカイのこと。
そう思い、アルマの家に入った。
そして、アルマと本気でゲームでバトルをした。
アルマは何も聞かずに、
ただ単に前みたいに、ゲームをするだけだった。
その優しさを懐かしくも感じ、
有り難かった。
久しぶりに幸福感を感じた。
そして、
スカイともこんな時間があったはずだったことを思い出した。
スカイもゲームは上手いから、
前はよく夜中にゲームをした。
最近は、
スカイに質問責めしたり、
変に恋愛ドラマ一緒に観ようとしたり。
…………今考えれば空回りしてたな。
勝手に1人で。
なんで、こんな風になってしまったのだろうか……。
全部、私が自信が持てないからだ。
スカイは全部くれてるのに…。
アルマ:……大丈夫?
ゲームのキャラクターが動いていないことに気づき、アルマが話しかけた。
〇〇:うん、大丈夫だよ。
そろそろスカイも心配するかなって
思って考えてただけ。
アルマ:そっか。
じゃあ、そろそろ帰ろうか。
〇〇:うん。誘ってくれて、ありがとう。
アルマ:またやろうよ!スカイには言っておくから!
〇〇:うん。
アルマの運転する車で家に着く。
〇〇:送ってくれて、ありがとう。
アルマ:うん、楽しかった。またね。
それと……僕で良かったら、
色々話し聞くからね。
気軽に相談して。
〇〇:うん、ありがとう。
アルマの車を見送った後、
何だか家に帰りたくなくて、
コンビニに寄った。
煙草ではなく、
アイスを外で頬張る。
冷たい感覚が、私を落ち着かせる。
スカイはきっと怒っているだろう。
だけど、私も怒っているの。
今日、スカイは私よりもリュヲンちゃんを
優先したように感じたから。
けれど、スカイにとっては
『そんな事』
なんだろう。
そうだよね、スカイは
ずっと我慢してたんだもんね。
だけど、辛いよ。
こんなに辛いと思うなら、
付き合わなければ良かった。
そしたら、スカイは不安にならなかった?
私もリュヲンちゃんに嫉妬しなかった?
(あぁ、またこんな考え事…。)
『好きなら、それだけ。』
(ゆうこさんに教わったじゃないか…。)
さて、、、帰るか…と溜息交じりで、歩きだす。
家に帰り、部屋を開ける。
スカイは静かにこちらを見た。
その瞳で、これから何を言われるのかが
分かった。
これで、良かったんだ。
お互い、きっともう限界だったのだろう。
『好き。
だけど、信じられない。』
それが、答えだ。
スカイ:分かるんだね…。
〇〇:分かるよ、好きだから。
スカイ:僕も。
〇〇:ごめんね。
スカイ:僕のほうこそ。
〇〇:ありがとう。
スカイ:うん、ありがとう。
本当に幸せにしたかった。
だけど、僕の運命の人は
〇〇じゃなかったのかもしれない…。
自信がないんだ。
〇〇:うん。ありがとう。
幸せだったよ。
ごめんね、不安ばかり抱かせて。
スカイ:僕も幸せだった。
…………
…………
…………
…………
スカイ:じゃあ、行くね。
〇〇:うん。
静かに、スカイは部屋から出て行った。
その姿は見れずに、
いつもスカイが私物を置いていた棚を、
何も無くなった棚を、
力無く見つめるだけだった。
つづく
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