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【短編小説】淡色恋輝 1話完結

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【短編小説】淡色恋輝 1話完結

 

いつもと違う帰り道、
バス停が見えた。

みき:ねぇ、あそこのバスのろう!

〇〇:うん!
 
 
少し長い列が出来ている
バス停に並ぶ。
 
すると、前の方から
知り合いが声をかけてきた。
 
翔と直哉だ。
同じクラスメイトである。
 
2人は外見はもちろん、
誰にでも好かれるような
性格をしている人達だ。
 
 
そして、私は密かに翔の事を
想っている。
けれど、翔はきっと
みきのことが好きだ。
 
 
今だって、わざわざ前の列から
こっちに来たのは、みきがいるからだ。
 
私が1人の時は来ないのに、
みきがいると必ず話しかけてくる。
 
 
みきは凄くモテる。
けれど、高嶺の花の様な存在感がある。

話したいけど話しかける勇気がなくて、
仕方なく私に話しかけてから、
みきと仲良くなろうとする人が大勢いる。
 
みきと普通に話せるようになったら、
私の事は見向きもしない人が大半だ。

最初は傷ついたり、何か相手の気に障る事を
したのかと考えたりしたが、答えは単純だった。

用済み。
 
 
 
頭の中でマイナス思考が繰り返す中、
バスが到着した。
 
 
バス乗車待機列とは裏腹に、
私達の目的のバスは乗る人が少なかった。
 
 
みきと私が隣同士で座ると、
翔は私達のところに座ってきた。
 
 
というか、私の隣に無理矢理
座ってきたので、私は窓側にいた
みきに身体を寄せた。
 
 
翔 私 みき
直哉は翔の横に立っていた。
 
すぐ左をみると、
翔が笑って私達に話しかけている、
姿が目の前にある。
 
 
胸の鼓動が早くなり、
バレないように必死に冷静を装う。
 
 
呼吸を最大限に小さくし、
緊張を悟られないように目の力を抜く。
 
 
 
そんな事を考えながら、
みんなと話していたら、
急にみきが立ち上がった。
 
 
みき:も〜、バス空いてるのに狭いから
後に移動してるね!
 
翔:じゃあ、僕も!
 
 
そう言い、みきの後を追うように、
行ってしまった。
 
 
〇〇:(あ〜、やっぱりな…)
 
 
みきが移動したので、窓からの景色を
眺めながら、残念な気持ちと、
さっきは変に鼻の穴とか
膨らんでなかったのか気になった。
 
 
〇〇:(少しでも、可愛くみえてたらいいな)
 
 
直哉:何、考えてるの?
 
 
先程翔が座っていた席に
直哉がいつの間にか座っていた。
 
 
〇〇:っっびっくりした。

直哉:(笑)ごめん。

〇〇:全然。いつの間にか隣にいたから、
驚いただけ(笑)

直哉:僕、そんなに存在感ないかな?

〇〇:いやいや違うの!
私が考えごとしてただけ!

直哉:そっか。
そういえば、今日はどうして
こっちのバス停から乗ったの?
 
〇〇:みきと気になるカフェの
デザート食べに行ってたんだ。
 
 

直哉と今日行ったカフェの事を
話したり、勉強について(直哉は頭が良い)
アドバイスをもらった。
 
 
途中、私の真後ろの席に移動した
翔が私の肩をつついたり、
ちょっかい出してきたが、
気づかないフリをして、
直哉と話した。
 
 
そうしているうちに、
家の最寄りのバス停に着いた。
 
みきにバイバイしようと、
立って後を振り向いた。
 
みきは翔の隣に座っていると
勝手に思っていたが、
後ろの席にいた。
 
 
みきと目が合い、お互い
手を触り合った。
 
そして、バスを降りると、
何故か翔も一緒に降りた。
 
 
バスを見送り、
翔に何処か用事があるのか聞いた。
 
翔:家まで送るよ。
 
〇〇:!?

突然の出来事に
動揺を隠せなかったが、
少し歩いているうちに、
冷静になった。
 
 

〇〇:(きっと、みきの事相談されるのかな…)
 
 
応援しようと決め、
色々とアドバイスを頭の中で
考えながら歩く。
 
 
 
翔:………あのさ…
 
〇〇:(ついにきた!私の失恋の瞬間!)
   なに?

翔:直哉の事どう思ってるの?

〇〇:………………え?
 
 
  
予想していなかった質問に
一瞬頭が困惑したが、正直に答えた。
 
 
 
〇〇:王子様みたいだよね。
なんか、こう、色素が薄くて、
佇まいが凛としてて。
口数は少ないけど、暗くはなくて、
人気者ってのが分かる感じ?

翔:ふ〜ん。じゃあ、僕は?
 
〇〇:…………え?
 
 
 
また予想外の質問だったので、
驚いだが、気持を悟られない程度に
答えた。
 
 
〇〇:う〜ん。
明るい人気者で、性格が良くて、
クラスの中心人物?みたいな感じかな〜

翔:へ〜。
 
 
そう言うと、翔は急にその場で
しゃがみこんだ。
 
そして顔を下にしてうずくまっていた。
 
 
具合でも悪くなったのかと思い、
焦りながら声をかけた。
 
 
〇〇:大丈夫!?何か飲み物買ってこようか?
 
 
そう言う私の手首を、
顔を伏せたまま翔は掴んできた。
 
 
そして言った。
 
 
翔:僕は王子様に見えない?
 
 
顔は見えなかったが、すぐに耳が
赤くなっていくのが分かった。
 
 
〇〇:(きっと、王子様のようだからと
みきにアピールしたいのかな…?)
 
 
私は言葉を選びながら、
話した。
   
 
〇〇:大丈夫。
ちゃんと、王子様みたいだよ。
色で例えると直哉は青い王子で、
翔は赤い王子様かな😄
ちゃんと、翔も王子様に見えるよ!
 
 
 
翔は顔をあげ、真っ赤な姿を見せながら、
私に言った。
 
 
翔:じゃあ、〇〇だけの王子様になる!
 
 
 
一瞬時が止まった。
聞いた言葉は分かるのに、
理解が追いつかない。
 
 
〇〇:え?みきは?
 
 
感情と正反対の言葉が冷静に出る。
 
 
翔:え?
 
〇〇:みきを好きなんじゃないの?
 
 
ポカーンとする私に、
翔はまた頭を埋めた。
 
 
そして、少しの沈黙の後、
目を合わせて言ってきた。
 
 
翔:僕は〇〇が好きだよ。
何処で勘違いしたのか知らないけど、
〇〇が好きです。
みきには相談にのってもらってたんだ。
今日直哉と話してて、
凄く嫉妬をしてしまって、
思わず、バス停を一緒に降りたんだ。
で、今直哉を王子様とか言うから…。
つい…………。
 
 
 
そう言いながら、
また徐々に顔が赤くなっていく
翔を見つめる。
 
 
翔は視線に気付き、
私を優しく見つめ返す。
 
 
 
今までは、私の先に
みきの存在を感じてきた視線を
体感してきたから、分かる。
 
今、翔は私を見ている。
翔の瞳に私が映っている。
 
 
〇〇:……私も、私も翔のことが好き。
 
 
 
少し震えながら答えた。
 
 
 
翔は驚いた後に、
凄く喜んで言った。
 
 
翔:本当に!?
え!?両想いだったの!?
え!?マジかぁ!!!
え!?やっったぁ!!!
 
 
翔の喜び方に思わず
笑ってしまう。

そして私達は
お互いを強く抱きしめ合った。
 
 
その瞬間、
普通の日常の道路が
夕日が、木々が
輝いてみえた。
 
 
翔は私を家の前まで
送ってくれ、
また明日の朝、
迎えに来ると言い、
帰って行った。
 
 
私は嬉しいのと、
信じられないような高揚感と
ドキドキで胸がいっぱいだった。
 
 
明日からは
どんな学校生活になるのだろうか。
 
 
みきにはいつ話そうか。
 
 
恋人って、何をするのだろうか。
 
 

淡い期待に心を落ち着かせながら、
眠りについた。
 
 
 
 
〜後日〜
 
 
みきに話すと、
翔からは本当にしつこく
相談されていたみたいで、
あんな女々しい人が〇〇の彼氏なんて😭
と、泣き言を言われたけど、
心からおめでとうと言われた🌼
 
 
おわり

 

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